【ブランド作りを考える②】社会問題に対して「解決思考的な広告」が重要視される時代に
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【ブランド作りを考える②】社会問題に対して「解決思考的な広告」が重要視される時代に

スパイスボックス(spicebox)

こんにちは、スパイスボックス・採用広報担当の阿久津です。
先日、Soicial Branding Lab.主催で「SNS時代のブランドづくりとキャリアについて考える【ブランドと人生のデザイン論】」というテーマで、オンラインイベントを2日に渡って開催いたしました。
その中でも、今回は編集者であり銀河ライターの河尻亨一さんのお話を一部、記事としても投稿したいと思います。

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第1弾「土屋きみさんパート」のnoteはこちら▼

スピーカー紹介

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河尻 亨一(編集者・銀河ライター)

取材・執筆からイベン ト、企業コンテンツの企画制作ほか、広告とジャーナリズムをつな ぐ活動を行う。著書『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』で第75回毎日出版文化賞受賞(文学・芸術部門)。訳書に『CREATIVE SUPERPOWERS』がある。
(お写真いただきたいです。)

広告の世界水準がわかるフェス「カンヌ」

世界のブランドがいかに挑戦しているかは、毎年行われている「カンヌ・ライオンズ」という広告・クリエイティブフェスを見るとわかります。優れた広告への賞の授与だけでなく、審査員の方と話せる交流会があったり、100近くの勉強会が開催されたりもする「世界最大のクリエイティブ祭典」です。賞に出る作品は、とんがったクリエイティブが多いので、世界のクリエイティブやマーケティング業界の最新情報が生々しくわかります。

たとえば、TwitterやFacebookが日本で流行りはじめたのは2009年頃ですが、僕は2007年のカンヌで知りました。賞を取る作品の中には、それらのSNSを使ったキャンペーン施策がいち早く出てきていたのです。

ここ10年のカンヌを見ていて思うことは「CHANGE」がテーマになっていること。広告自体が多様化しているので、メディアからデジタルからモバイルから……カンヌの部門は30個に増え、受賞数も毎年約1,000近く出ます。年によっても違いますがだいたい3万件の応募があるので、倍率は約30倍。

昨今のキーワードは「広告のダイバーシティ&インクルージョン化」でしょう。ヨーロッパやアメリカを中心に、様々な広告で真剣に取り組まれている印象を受けます。たとえばジェンダーや人種差別、銃、貧困、地域環境、多様性などの社会問題にブランド(広告)はどんな取り組みを行っていくのか? が重要視されています。受賞作品のうち9割くらいは、上記の課題に対する解決志向的な作品になっています。

タブー視されてきた実情を描く「#WOMBSTORIES」

今年(2021年)、4部門でグランプリを獲ったのが、イギリスの生理用品ブランド「Bodyform」の「#WOMBSTORIES(子宮の物語)」。今まで触れることがタブー視されてきていた子宮の悩みや喜びを、ストレートかつオープンに語っていこうと動画で呼びかけています。アニメーションと実写を用いたCMの完成度が素晴らしいですが、デジタル上でコミュニティを作って投稿を集めたり、オンラインミュージアムを作って「語ろう」と呼びかけるなど、トータルのキャンペーン設計も巧みに計算されています。

この動画のコメント欄を見ていてハッとしました。従来のCMでよく目にしていた、「生理の悩みは商品を使えばすぐに解決して、白いズボンでもすぐに満員電車に飛び乗る」といったステレオタイプな描き方に疑問を感じている人が少なからずいることに気づいて。「悩みをリアルにシェアしようという企業の姿勢に共感しました」といったコメントもたくさん並んでいるんです。実際にこのキャンペーンを通して、ヨーロッパでの「Bodyform」の市場シェアは1年間で約10%も伸びたそうです(イギリスで8.1%、ロシアで14.1%、デンマークで9.9%など)。

環境破壊への警笛「SALLA 2032」

フィンランド(ラップランド地方)の観光・マーケティング部門が企画した動画も面白い事例のひとつ。極寒のサラ市に住む人々が夏季オリンピック誘致を目指して、グッズをたくさん作ったり、IOCに直談判したりする様子が動画に収められているんです。なにも考えずに見れば、とてもユーモラスな動画に思えますよね。でも、これは “なんちゃって” で、「このままいくと2032年には(こんなに寒い地で)夏季オリンピックができるようになるぞ」という大きな皮肉が込められたキャンペーン。この施策はメディアに大きく取り上げられました環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんも支援しているそうです。

EUの法律までも変えた「ACT FOR FOOD」

オーガニック野菜に力を入れるフランスのスーパーマーケットチェーンの「カルフール」による取り組みにも注目が集まりました。
フランスでは野菜や果物の種子に関する法律(規格)が厳しく、ごく一部の品種しか育てることが認められていないという現状がありました。いわゆる"伝統野菜"の多くは流通させられないんですね。その理由として「人々の安全を守るため」と言われてはいるものの、裏には「できれば農薬に弱い作物を普及させたくない(なぜなら農薬が悪者になるのは嫌だから)」と考える農薬団体の思惑や働きかけが存在したと言われています。多種多様なオーガニック野菜が絶滅の危機にあるわけです。
そこで、カルフールは「違法でもいい。我々は法に反した有機野菜を育てる農家にお金を出して応援します。」と、「ブラックマーケット(闇市)」と題して店舗販売とキャンペーンを行ったわけです。この運動には賛同の声が多く集まり、最終的にはEUの法律見直しにつながりました。
その後もカルフールでは、6万の生産者を対象にした品質向上の取り組みや有機農業を志す2000の農家の資金サポートなど「フードのためのアクション」を続け、プロジェクト開始後の3年で、世界での売上は3.1%上昇(オンライン販売は30%増・株価も9%UP)するなど、ビジネスを成功させています。

これらの事例を見てもわかるように、社会課題の解決を志向するブランドは、ビジネス面でも持続可能な成長を達成するーーということが明らかになり始めています。世界水準のクリエイティブと呼ばれるには、もう社会課題に意識を傾けるだけでなく、具体的な行動に挑戦していくことが当たり前の時代になっています。

今日解説したのは、今年のカンヌ・ライオンズ受賞作のごく一部です。さらに詳しく知りたい方は「カンヌライオンズ日本公式サイト」を是非チェックしてみてください。私以外にも、広告業界のトップランナーの方々が、それぞれの専門の立場から、「世界の水準のクリエイティブ」について解説してくださっています。

対談を終えて

最近、新しいSNSとして「LINKEDIN」という言葉を聞くようになりました。私自身、まだインストールもしていないですし、何ができるアプリなのかも分かっていません。ですが、今年のカンヌにはすでに「LINKEDIN」を使った施策が受賞しており、河尻さんの「世界のクリエイティブやマーケティング業界の最新情報が生々しくわかります。」という言葉を身を以て体験することとなりました。
どんなイシューを捉えるのか? どんなSNSを駆使するのか? 勉強にもなり、新しい気付きにもなる素敵な映画祭だなと感じました。(編集部)

河尻さんからのお知らせ

著書「TIMELESS 石岡瑛子とその時代(朝日新聞出版)」
全国書店、ネットで絶賛発売中

河尻さんの本


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こんにちは。スパイスボックスです。真面目で個性的な人が働いてます。 私達が、どんなことを考えて、なにがスキで、どんなプライベートを送っているか、自由な発想でお届けします。たまに役立つ情報も書きます。https://www.spicebox.co.jp/